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医療費を圧迫しないためにもHIV「予防薬」開発が望まれる

治療薬「Truvada」はアメリカでは予防薬としても承認されている(C)AP

「後天性免疫不全症候群」(AIDS)の原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療薬は、「治療上やめられない薬」のひとつです。有効性の高い薬の開発に伴い、患者の生存期間が長くなってきています。

 もちろん、生存期間が延びているのは素晴らしいことです。しかし一方では、「生存期間が長くなる」=「薬を使用する期間が長くなる」=「1人の患者の生涯医療費(薬剤費)が高くなる」ということであり、国の医療財政を圧迫しているのもまた事実なのです。厚生労働省は「健康診断でHIV検査を行う制度」を試験的に運用するため、2018年度予算の概算要求において2800万円を計上しています。この制度が利用されれば、毎年1000人程度が発見されてきたHIV感染者がこれまで以上に増え、さらなる医療費の圧迫が予想されます。

 HIV感染者の多くは20~30代で、感染経路のほとんどは性的接触(特に同性間の)によるものとされています。早期発見・早期治療は大事なことですが、医療面はもちろん、医療費節約の観点からも、「予防」はそれ以上に大切です。

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神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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