気鋭の医師 注目の医療

カテーテルを痛む場所まで移動し微細血管もろとも神経を消失させる

オクノクリニックの奥野祐次院長(提供写真)

 また、モヤモヤ血管の増え方が重度でなければ、カテーテルを使うまでもなく、エコー画像を見ながら注射でステロイド剤を注入する治療法も可能。ステロイド剤には血管を退縮させる作用があるという。注射治療の所要時間は5~10分ほどだ。

「運動器カテーテル治療は、やっても1~2回。7~8割の患者さんは1回の治療で満足する程度まで痛みが改善します。部位や病気によりますが、3年の経過観察で約9割の人は痛みの再発がありません。改善の程度によって必要であれば、注射治療や理学療法(筋肉や関節のほぐし)、食事療法などを加える場合もあります」

 奥野院長が「痛みと血管の関係」を発見したのは、がん治療を行っていた勤務医時代。がんにできる新生血管を薬剤で潰すと、「痛みが楽になった」という患者が多くいたからだ。2007年から運動器カテーテル治療の研究を始め、これまで治療した患者は約1500人に上る。まだ知る人ぞ知る治療法だが、国内外で行う医師が徐々に増えつつある。

3 / 4 ページ

関連記事