そんなRさんに、嗄声(声のかすれ)、咳、痰といった症状が表れ、3カ月ほど続きました。Rさんは「喉が荒れただけだろう」と思っていましたが、痰に少し血が混じり始め、妻から診察を受けるように勧められました。深刻に考えることもなく近所の耳鼻科を受診したところ、「左の頚部に硬いしこりがあります。紹介状を書くのでA病院を受診してください」と言われたのです。
翌日、A病院を訪ねたRさんは、担当の内科医から採血と胸部X線検査を受けるように指示され、その後でCT検査も行いました。そして、2時間ほど待ってから受けた診察で医師からこう告げられました。
「肺がんです。首のリンパ節と肺の中にも転移があり、手術はできません。来週、入院してもらって、気管支鏡を使った組織検査をしましょう。この検査はがんの確定と、どの種類の抗がん剤を使うかを決めるために大切です」
がんと向き合い生きていく