クスリと正しく付き合う

美容クリーム代わりに処方薬が使われていることの問題点

ヒルドイドローション(C)日刊ゲンダイ

 ヒルドイドが保険診療・処方箋医薬品である以上、患者の自己負担額は3割で、残りは税金が使われています。つまり、美容クリーム代わりにヒルドイドを使っている人の“商品代金”の多くを国民が負担しているわけです。公的機関や医療機関がヒルドイドの乱用防止・適正使用を強く推進していくのは当然といえます。安易に処方薬を美容クリーム代わりに使うのはやめましょう。

 ヘパリン類似物質を含んだヒルドイドと同様のクリームは、処方箋がなくても薬局で買うことができます。ヒルドイドを処方してもらうために医療機関を受診して、診察代や処方箋料を支払うよりも、むしろ安く手に入るものもあります。

 処方薬を乱用するのではなく、処方箋なしで購入できる市販薬で代替する。この形は、これからより進めるべき薬の適正使用とセルフメディケーションのあるべき姿ともいえます。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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