皮膚を科学する

赤ちゃんのお尻はなぜ青い? 成長とともに消えるのか

 一般的にメラニンは皮膚の深い部位にあるほど青く見え、浅い部位にあるほど茶色に見える。それが乳幼児の蒙古斑の出現に関係している。

 皮膚は体表から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層になっていて、本来、メラノサイトは表皮の基底層に存在する。ところが胎児の時は真皮にメラノサイトがあり、それが徐々に表皮に移行する。その過程で一部、真皮に残ったメラノサイトがメラニンを作るため、青アザのような蒙古斑が現れるという。では、なぜ尻や腰、背中に出るのか。

「メラノサイトは、背外側に遊走して皮膚に分布する体幹部神経堤によって作られるためともいわれますが、はっきりしたことは分かっていません。2歳くらいまで青さが増していき、5~6歳で目立たなくなり、大半の人は10歳ごろまでには消えます。なぜ自然消失するかも、よく分かっていません」

 ただ、約3%は直径2センチ程度の円形の「持続性蒙古斑」が成人になっても残る。また、腕や足、お腹や胸などに生じる「異所性蒙古斑」もまれにある。このような青アザは年を取っても消えないので治療の対象になる。

 治療は真皮にあるメラニンを破壊するレーザー治療が一般的で、保険適用になるという。

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