たとえば、胃がんは早期ならほぼ100%治ります。私も早期の胃がんと診断されたら、手術を受けて根治を目指しますし、患者さんにも当然、手術を勧めます。
しかし、全国がんセンター協議会の調査によると、胃がんのステージ4の5年生存率は7・3%に低下。残念ながら、末期がんの治療成績は十分ではありません。
国立がん研究センターはこの夏、がん治療の実態調査を発表しました。たとえばステージ4の胃がんの場合、75~84歳で治療を受けなかった人は24.8%に上ります。「85歳以上」は56%と年齢が上がるにつれて「治療せず」の割合が増えるのです。すい臓がん、肺がん、肝臓がんも、ステージ4で85歳以上は「治療せず」が5割を超えています。
■「迷ったら受けない」
治療なしの選択をする場合、期待される余命とQOLをベースに考えます。期待される余命は男女の平均寿命から逆算するといいでしょう。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁