ビタミンB1について取り上げてきましたが、今回からはビタミンCです。ビタミンCの欠乏は、「壊血病」といって、貧血を来し、粘膜に異常が表れ、傷の治りが悪くなり、感染症にかかりやすくなるという状態を招きます。この壊血病は、新鮮な野菜や果物の摂取ができなくなる大航海時代の長期航海中の船員に蔓延し、「かんきつ類が有効らしい」ということから、レモン汁の摂取によって克服されました。ビタミンB1によるかっけの克服と似たような歴史があります。
そんなビタミンCですが、現在では欠乏症はほとんどなく、私自身、実際の患者を診たことはありません。現在のビタミンCの話題は大量摂取にどんな効果があるかというのが大部分です。そんな中、「風邪にビタミンCが効果的」という説があります。それについてのランダム化比較試験のメタ分析の結果についてご紹介しましょう。
小児から成人に至る幅広い風邪患者が、200~8000ミリグラム/日のビタミンCを摂取すると、風邪の持続日数が10%弱短くなるという結果です。
10%弱短くなるというのは、5日で治るところが、ビタミンCを摂取すると4・5日で治るという感じです。
ビタミンCの一般的な必要量は100ミリグラム。野菜100グラムで十分取れる量ですから、その2~80倍の量のビタミンCを取って、前述のような効果というところです。
「大して効かないのか」という感じかもしれませんが、インフルエンザに対するタミフルなどの抗インフルエンザ薬の効果も1日早く治るという結果ですから、似たような効果があるともいえます。
数字が語る医療の真実