末期がんからの生還者たち

精巣がん<1>「片方の睾丸がビー玉のように固く感じた」

大久保淳一さん(提供写真)

「病院内を車椅子で移動していましたが、体温37度がどうにも下がらない。理由が不明。また股間に触ると、片方の睾丸がビー玉のようにカチカチに固くなっていることを感じたのです」

 超音波などの精密検査で、末期の「精巣がん」が見つかった。5年生存率は約49%である。

 泌尿器科で約5時間に及ぶ「精巣摘出手術」を受けた。集中治療室から病室に移動し、一息ついた術後3日目に、担当医からこう告げられる。

「長い治療になります。どうなるかわかりませんけど……」

 大久保さんの原発「精巣がん」は、大腸、肺、首の各リンパ節など全身に転移をしていたのだ。

 頭の中で、「死」という言葉が何度も横切る。病室の壁に、笑顔を振りまいている小学校1年、3年というわが子の写真を、何枚も張りつけた――。

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