クスリと正しく付き合う

インフルエンザワクチンはなぜ大量生産ができないのか

予防のためにはワクチン接種が効果的(C)共同通信社

 今後は、ワクチン不足を解消するために大量生産が可能な新しい製法の開発が求められています。メーカーを含めたわれわれ医療従事者も供給面の問題について考えるべきでしょう。

 インフルエンザや風邪の治療に関して、もうひとつ大きな問題があります。「抗生剤」の乱用です。インフルエンザや一般的な風邪はウイルス感染なので抗生剤は効きません。抗生剤は「菌を殺す薬」で、ウイルスは殺せません。そして、直接炎症を抑える薬でもないのです。

 しかし、日本は「抗生剤の乱用大国」とされています。不適切に抗生剤をたくさん使っていることによって、「薬の効かない菌」=「耐性菌」の発生も問題となっています。

 これからは、医療従事者だけでなく患者さん側も、抗生剤の乱用について考える必要があると思います。病院にかかった時、抗生剤が処方されなくても、その先生をむしろ評価する視点を持つべきではないでしょうか。

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神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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