医者も知らない医学の新常識

昼間に負ったやけどは60%早く治る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 夜勤の仕事などが続くと、体調を崩すのはなぜでしょうか? 

 人間の体には「体内時計」という時計があって、昼に起きて夜寝ると調子が良いように出来ているからです。脳の視交叉上核という部分にその大本の時計があって、そこから全身の細胞に、神経やホルモンを利用して信号が伝わっています。一つ一つの細胞にも時計があって、細胞自体が昼や夜のリズムを持っているのです。

 昼や夜をどのようにして感じ取っているかというと、太陽などの光を浴びることで、その時間が昼であることを理解しています。そのために、昼と夜が逆転したような生活をしていると、体内時計が狂ってしまって、不眠などの体調不良が起こるのです。 さて、体に傷を負った時に、それを治す働きを持つ線維芽細胞という細胞がありますが、その細胞も体内時計を持っています。

 今年の「サイエンス・トランスレイショナル・メディシン」という一流の医学誌に発表された論文によると、傷を治す時の体の反応には昼と夜の違いがあって、昼の方が傷を治す作業が早く進むことが報告されています。

 救急センターで、重症のやけどをした時間と、治るまでの時間を調査したデータによると、昼と比べて、夜にやけどをすると、治るまでの時間は60%も長くなったそうです。ケガをする時間は選べませんが、昼間のケガややけどの方が、早く治ることは事実のようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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