末期がんからの生還者たち

精巣がん<3> 転移がん手術後2カ月で間質性肺炎を発症

大久保淳一さん(提供写真)

 炎症が止まらず、大久保さんは、「肺の機能が51%まで落ちていました。これが50%を切ると生命が危険と言われた」という。がんと併せると5年生存率が20%に落ちる。

 担当医は内科治療を選択した。点滴で1日に1000ミリグラムのステロイドを挿入するという「大量パルス治療」が続けられた。さらに、点滴で免疫抑制剤も投与され、ようやく肺胞の炎症拡大が止まる。

 この間、約1カ月間の入院治療。がんの治療でこの1年間に6回の入退院を繰り返し、最長15時間の手術にも耐えた。生死をさまよう大久保さんを生還させた担当医、看護師チームの渾身の医療努力もある。

 家族に迎えられて退院するとき、入院病棟の玄関先まで、医師や看護師たちが総出で見送ってくれた。

 このとき、大久保さんの背中に投げかけられた医師の一言が忘れられないという。

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