これで「物忘れ」は怖くない

物忘れを進めるか食い止めるか 分かれ道は飲酒量で決まる

ワイン1~2杯が適量
ワイン1~2杯が適量(C)日刊ゲンダイ

 年齢とともに増える物忘れ。その原因は、海馬にある神経細胞が機能低下することにあった。そんな物忘れに「アルコールが影響する」と言うのは、くどうちあき脳神経外科クリニック・工藤千秋院長だ。

「お酒を大量に飲み続けると、脳が萎縮して記憶力が低下します。アルコール性脳症といわれる状態です」

 アルコールは肝臓で毒性のあるアセトアルデヒドに分解され、さらに無害な酢酸に分解される。しかし、アルコール摂取量が多いとすぐには分解しきれず、アセトアルデヒドが体内を巡ってしまう。それが脳の神経細胞を破壊するのだ。特に記憶の中枢である海馬は脆弱で、真っ先に破壊されるという。

「一方、お酒には脳の血流を良くし、代謝を高める効果があります。適量でさえあれば、毎日飲んでも構いません」(工藤院長)

 米山医院・米山公啓院長もこう言う。

「お酒を適度に飲んでいる人は、認知症の発症率が低いというデータがあります。特にワインは良い効果があるようです」

 たとえばイタリアの調査では、軽度認知機能障害(認知症の兆候が見られる状態)の人のうち、ワインを1日1杯未満摂取している人は、飲まない人より3年半後の認知症発症リスクが85%も低くなっていた。

「しかし、ワイン1、2杯飲んだだけでやめられる人なんてめったにいませんよね。適量でやめられないなら、いっそ飲まないほうがいいのですが……」(米山院長)

 厚労省によると、1日の飲酒量は男性でビール中瓶1本(ワインなら2杯)程度、女性はその半分から3分の2程度が適量だとか。この量を守り続けられるかどうか、そこが分かれ目のようだ。

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