Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

末期がん患者は自ら絶食 「口から食べる」の本当の意味

故・今井雅之さんも食事ができないつらさを語っていた(C)日刊ゲンダイ

 抗がん剤治療中の言葉でしたが、当時の激ヤセした表情を思い出すと、冒頭のようなデータが出るのも類推できるでしょう。がん患者にとって、食事は大切なのです。

 なぜあんなに痩せるのかというと、がんの増殖には大量のブドウ糖が必要で、正常な組織を養うためのブドウ糖が“横取り”されます。もうひとつ、がんは体内に炎症を起こす物質を放出し、体のあちこちが炎症状態に。慢性炎症はエネルギー消費をさらに高めます。一方、がん細胞は筋肉のタンパク質を分解する物質を出すため、がんが進行すると筋肉が減ります。これらが重なって痩せるのです。

 心理的なつらさで食欲が落ちたり、抗がん剤の副作用で吐き気が出やすくなったり。だからといって、食べなくなるのはよくありません。

■欧米では胃ろうはしない

 実は、体にある免疫細胞の半分くらいは腸にあります。腸は、人体最大の免疫装置です。口から食べられず、腸が使われなくなると、免疫力が低下。低栄養と炎症が進んで、体重と筋肉がさらに減少し、免疫力がより一層低下します。がんが増殖、転移しやすくなる悪循環に陥るのです。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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