抗がん剤治療中の言葉でしたが、当時の激ヤセした表情を思い出すと、冒頭のようなデータが出るのも類推できるでしょう。がん患者にとって、食事は大切なのです。
なぜあんなに痩せるのかというと、がんの増殖には大量のブドウ糖が必要で、正常な組織を養うためのブドウ糖が“横取り”されます。もうひとつ、がんは体内に炎症を起こす物質を放出し、体のあちこちが炎症状態に。慢性炎症はエネルギー消費をさらに高めます。一方、がん細胞は筋肉のタンパク質を分解する物質を出すため、がんが進行すると筋肉が減ります。これらが重なって痩せるのです。
心理的なつらさで食欲が落ちたり、抗がん剤の副作用で吐き気が出やすくなったり。だからといって、食べなくなるのはよくありません。
■欧米では胃ろうはしない
実は、体にある免疫細胞の半分くらいは腸にあります。腸は、人体最大の免疫装置です。口から食べられず、腸が使われなくなると、免疫力が低下。低栄養と炎症が進んで、体重と筋肉がさらに減少し、免疫力がより一層低下します。がんが増殖、転移しやすくなる悪循環に陥るのです。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁