Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

末期がん患者は自ら絶食 「口から食べる」の本当の意味

故・今井雅之さんも食事ができないつらさを語っていた(C)日刊ゲンダイ

 今井さんは生前、「モルヒネをどんどん打って殺してくれ」と担当医に迫ったことを涙ながらに告白しました。食べられなくなることがすべての原因ではありませんが、その悪循環による最悪の結末を招いてしまったのです。

 あの壮絶な姿をふびんに思われるなら、たとえがんになっても食べられる生活を心掛けることです。それは、タンパク質に富む食事を口から取り、適度な運動で筋肉を保つこと。ごくごく基本的なことですが、それがとても大切なのです。

 何度となく「口から」と書いたのは、日本ではがんや脳卒中の後遺症で胃ろうが勧められることがあります。その数、26万人ですが、欧米では行われていません。口から食べられなくなり、すりつぶした食事を胃に入れるのは惨めで、生きる喜びが奪われるのです。

 そうならないために、口から食べる生活を心掛けるのです。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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