気鋭の医師 注目の医療

精神栄養学の国内第一人者 血液検査で不足の栄養素を判定

功刀浩部長(提供写真)

 また、功刀部長が担当する「うつ病外来」では、必ず血液検査をする。それはうつ病に関係する栄養素の不足やバランスを調べるためだ。必要であれば通常の治療に「栄養補充療法」を加える。

「うつ病の患者さんに不足しがちの栄養素は『葉酸』『鉄』『亜鉛』『DHA・EPA』などです。葉酸はノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどを合成する経路の『1炭素サイクル』の働きに必要です。鉄や亜鉛なども不足するとうつ症状が出やすくなります。また、これらの栄養素が不足すると抗うつ薬の効きも悪くなります」

 必要な栄養素は錠剤で処方され、ジワジワ効くので即効性はない。しかし、運動療法や栄養補充は2~3年たつと強力に効いてきて、再発が起こりにくくなるという。

「うつ病は生活習慣病です。まだあまり浸透していませんが、栄養学的アプローチは精神疾患の治療法の柱のひとつになると考えています」

▽東京都出身。1986年東京大学医学部卒。ロンドン大学精神医学研究所にて研究、帝京大学医学部精神科学教室講師を経て、02年から現職。〈所属学会〉日本生物学的精神医学会副理事長、日本うつ病学会評議員、日本栄養食糧学会代議員など。

3 / 3 ページ

関連記事