原因不明の微熱が続いたのである。また、左首を触ると、大きさが小指くらいの不快なリンパ腺の腫れも気になった。
通い慣れた近所の病院で薬をもらい、微熱は下がった。だが首の腫れが治らない。自宅から10分のところにある「山梨大学医学部付属病院・耳鼻科」を訪ねた。
■長男に「パパ、病気なの?」と聞かれ
精密検査を受け、さらに首の腫れの部分に注射器を刺して液体を吸いとり、同時にへんとう付近の細胞を取るという「生検」が行われた。
1週間後、再度病院を訪ねたところ、担当医から、「今日はひとりですか。奥さまは来ていませんか?」と、尋ねられた。
不吉な予感がした。急ぎ自宅にいた妻を呼び出し、あらためて担当医の前に着席すると「中咽頭がんです」と、告知された。40代の若さで、会社の副社長を務め、職務はネコの手を借りたいほどの忙しさ。
末期がんからの生還者たち