末期がんからの生還者たち

中咽頭がん<2>「口頭で社員に指示ができない経営者などいるものか」

三枝幹弥さん(提供写真)

 3つ目は、先に左首のリンパ節手術を行い、その後、喉の奥と首に放射
線治療を行うもの。

 三枝さん家族は、病院内の喫茶店に場所を移し、治療の選択を話し合った。

 父と実弟は、「生存率が高い1つ目の治療法がいい。声が出なくなっても、何としても生きてほしい!」と切願した。しかし、三枝さんは、「声の出ない人生なんて考えることができませんでした」と言う。

■副作用で体調は日に日に悪化

 社員200人を抱える宝飾会社の副社長である。「口頭で社員に指示ができない経営者などいるものか」と、治療法を2つ目の「化学療法併用放射線治療」に懸けることに決めた。

 11月24日、入院した初日から点滴で抗がん剤(シスプラチン)を投入。この点滴を3クール(1クールは3週間)続けた。

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