末期がんからの生還者たち

中咽頭がん<2>「口頭で社員に指示ができない経営者などいるものか」

三枝幹弥さん(提供写真)

 同時に、月曜日から金曜日までの5日間、時間にして約20分、「強度変調放射線療法」を33回受けた。入院は年を越えた。

 正常部位に放射線が当たらないように顔、首を固定し、その周りを機器がぐるぐると回る。

 抗がん剤や放射線の副作用で、日に日に体調が悪くなった。困ったのは食事が喉を通らないこと。

 腹部に造設した「胃ろう」で1日に3回、半固形のジェルを流し込んだ。体重は74キロから58キロまでに落ち込む。

 他方、「化学療法併用放射線治療」の効果は順調で、担当医から「頑張れ」と励ましを受けながら、ベッドにへばりついた。

 治療の後半になって左首にあったパチンコ玉半分程度のしこりが次第に小さくなった。やがて放射線医から、「これは凄い! 奇麗に消えていますよ」と告げられた。

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