寄生虫卵のんで自己免疫疾患が改善 世界注目の療法とは?

東京慈恵会医大熱帯医学講座の嘉糠洋陸教授(C)日刊ゲンダイ

■欧米では十数年前に安全性が証明

 免疫反応は、例えるなら遊具の「シーソー」のようだ。一方の免疫が働けば、もう一方の免疫が抑制される。寄生虫卵内服療法は、このメカニズムを利用している。

 欧米では動物実験から寄生虫感染と自己免疫疾患との関係が指摘され、早くも2000年代初頭には豚の便の中から採取した寄生虫「豚鞭虫」の卵を内服しても安全であることが臨床試験で証明されている。

「炎症性腸疾患、乾癬、多発性硬化症のほか、花粉症、喘息、自閉症に対しても寄生虫卵内服療法の臨床研究が実施されています。近年、自閉症も自己免疫反応が関係していると考えられています」

 現在、1瓶に2500個の寄生虫が入った製品がインターネット上で気軽に購入できるようになっているほど、世界では「安全性は確証されている」という見方。また、ドイツでは来年以降、機能性食品として薬局などで販売される見込み。アメリカでは、日本の厚労省にあたるFDAの認可を受けるため、複数の臨床試験が進行中だ。

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