「大事な手術日が延期されるなんて、私はもうダメなのかと落ち込みましたね。その一方、テレビで1000年に1度というあの大津波を目にして、“こんな試練に遭いながらも生きている人もたくさんいる”と感じ、強烈な励ましになりました」
5時間に及ぶ手術を受けて麻酔から覚めると、看護師から「三枝さん、手術は成功しましたよ」と告げられた。
10日間入院し、退院時には担当医から「手術の結果は6月ごろにお知らせします」と言われた。これまでの総医療費は約250万円。ただ、がん保険にも入っており、個人負担はほぼゼロだった。
三枝さんの自宅近くには荒川が流れている。毎日、その土手をゆっくり歩いた。手術による検査結果が出る6月まで、少しでも体調の回復を図ろうとしたのである。
末期がんからの生還者たち