笑うより効果的? 「泣いて元気」になる脳のメカニズム

「泣ける本」に浸って思い切り泣くのも手(C)日刊ゲンダイ

■情動の涙を流す

 逆にいえば泣きたいときに我慢することは緊張状態を長引かせ、ストレスをため込むことであり、泣くことはストレス状態が解消され、リラックス状態になるということだ。

 泣いた後には、脳内ホルモンのひとつで、モルヒネと同様の働きをするとされるエンドルフィンが増加するといわれている。

 エンドルフィンには強い鎮静効果があるため、ストレスを解消してスッキリ感をもたらしてくれるらしい。

 ただし、涙には目を潤す「基礎分泌による涙」のほか、ゴミが目に入ったときに出る「反射の涙」と脳がストレスを感じたときに流す「情動の涙」がある。ストレスを解消するには「情動の涙」が必要だという。同じ涙でも成分が微妙に違うからだ。

 実際に「涙―人はなぜ泣くのか」の著者で米国のウィリアム・H・フレイ博士がタマネギを切った時に出た涙と映画で感動したときに出た涙を比べたところ、後者には副腎皮質ホルモン(ACTH)が検出されたという。ACTHはストレス反応として分泌されるホルモンなので、情動の涙はストレスを体外に排出する働きがあるという。

3 / 4 ページ

関連記事