これで「物忘れ」は怖くない

慢性的な睡眠不足がアルツハイマー病のリスクを高める

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年齢とともに増える物忘れ。その原因は、海馬にある神経細胞が機能低下することにあった。記憶力をキープするためには、何が必要なのか?

「米山医院」の米山公啓院長に聞いた。

「良質な睡眠を十分に取ることです。慢性的な睡眠不足は、アルツハイマー病のリスクを高めます」

 アルツハイマー病の原因は、脳内にアミロイドベータ(通称・脳のゴミ)というタンパク質が異常に凝集し、神経を損傷することとされる。通常、「脳のゴミ」は睡眠中に排出されるが、睡眠時間が短ければ排出しきれず蓄積してしまう。これがアルツハイマー病発症を後押しすると考えられているのだ。 

「そもそも、記憶は寝ている間に定着するものです。徹夜で勉強するより、勉強した後に睡眠を取る方が、記憶が長く保たれるという報告もあります」(米山院長)

「くどうちあき脳神経外科クリニック」の工藤千秋院長の意見はこうだ。

「睡眠が足りないと、自律神経が乱れて血圧が高くなりがちです。血圧が高いと脳の血管が収縮しやすく、脳梗塞を発症する危険性が高まります」

 睡眠不足が続くと、脳血管性認知症を発症しやすくなるというわけだ。とはいえ、「寝すぎるのもダメ」だと工藤院長が指摘する。

「毎日数時間は動かす機械と、1時間しか動かさない機械とでは、後者の方がサビつきます。脳も少ししか動かさなければ、サビついてしまうのです」

 寝てばかりいると脳の神経細胞が活性化する時間が短く、認知機能が低下しやすいということだ。睡眠時間は6時間から8時間がベストといわれている。長すぎても短すぎても脳には良くないと心得よう。

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