内臓5つ摘出も元気 建築家・安藤忠雄氏に聞く“生きる力”

「病気をしてから本を読む機会ができた」と語る安藤忠雄氏/(C)日刊ゲンダイ

■「できる限りのことをやりたい」

 最近の子どもたちは本を読みません。判断力を養い、感性を育む上で、読書活動は欠くことのできないものです。特に絵本はいい。想像力が湧いてきます。お母さんたちも本を通して子どもたちと交流することで、心がつながります。生きる力を培ってもらうために、自由に利用できて、絵本や児童本をはじめとした文化に触れられる施設をつくってはどうかと考えました。

 今、大阪市の中之島公園に「こども本の森中之島(仮称)」を建設する計画が進んでいます。建設費や運営費は寄付で賄います。ここから、「次の時代を考える子どもたち」が育っていってくれればと思っています。私自身、読書から「生きる力」をもらってきたからです。

 人生は何が起きるか分かりません。2009年、指揮者の小澤征爾さん(82)と「お互い体力だけが取りえですね」と冗談半分に話していたら、その直後にがんが見つかり、3カ月後、小澤さんもがんだと分かりました。自信過剰はよくありません。胆嚢、胆管、十二指腸を全摘しました。やっと回復したと思ったら、14年6月、主治医に「膵臓の真ん中にがんがある。大手術や」と宣告されました。

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