「自分の体に鈍感な人が多いように思います」
こう話すのは、「目白鍼灸院」の柳本真弓院長。心も体もクタクタなのに「まだまだ頑張れる」と無理を重ねる。心身が大きな悲鳴を上げるようになってようやく、鍼灸院に飛び込んでくる。
「日頃から体を観察する習慣を身に付ければ、大事になる前に対処できます。ツボ押しを自分の体に目を向けるきっかけにしてほしい」
心身の疲れを解消し、元気にするツボを教えてもらった。ツボの位置はイラストで示しているが、柳本院長によれば「だいたいでOK」。気持ち良いところを重点的に。押す強さや回数も「気持ち良い程度」で。垂直に押したり、斜め上・斜め下に押したりすると、なお良い。揉んだ方が気持ち良いと感じたら、揉むのも良し。
■食べ過ぎ飲み過ぎによる顔のむくみを取る
こめかみにある「太陽」を押す。その後、耳の下辺りから鎖骨の上のくぼみに向かって、手のひらでサーッと優しくなでる。リンパの流れを良くするイメージだ。
「顔のむくみが解消されます。マッサージオイルなどを用いても良い。鎖骨のくぼみの様子が左右で違うと感じたら、くぼみがない方がリンパの流れが滞り、よりむくんでいるということ。そちら側をより熱心に流してください」
■睡眠の質を上げる
睡眠で重要なのは、「質」。
外くるぶしの下の「申脈」と内くるぶしの下の「照海」を手でつかみ、ぐるぐる回す。そして、片足を曲げてあおむけに寝転がり、バンザイ。寝転がるのやバンザイがつらければ、できる範囲で。曲げている方の足の付け根から膝にかけての筋肉を伸ばすようにする。
「夕食の内容が十分に消化されないままでは安眠は得られません。2つのツボとストレッチが消化力を高め、全身の血流を良くして、睡眠の質を上げます」
ストレッチは腰や背中の凝り対策にもなる。
■肝臓の疲れを回復
肝臓を酷使しがちな季節。アルコールだけではなく、ストレスも肝臓にダメージを与える。
乳頭と肋骨の下端を結ぶラインの真ん中辺りの「期門」は肝機能を上げるツボ。背中側にある「膈兪」は肩甲骨の下端。そこから少し下がって「肝兪」、さらに少し下がって「脾兪」は肝臓や胃腸など消化器系の不調を改善するツボだ。
「背中側は自分の手が届きにくいので、できれば家族に押してもらってください。期門、膈兪、肝兪、脾兪と4つのツボを挙げていますが、肝臓の辺りを広めの範囲で捉え、刺激を加えると肝臓の疲れが解消され、ストレス対策にもなります」
これらのツボは温めるとより効果的だ。電子レンジで温めて何度も使える「ホットパック」などを利用するとよい。
■顔色を良くする
顔色が悪いのは、胃腸などの内臓が疲れている証拠。髪の毛の生え際のラインにある「頭維」を押そう。
「指を3本当てて、少し強めに、くるくる回すようにして刺激を加えます。頭を使い過ぎてクタクタという時にもぜひ」
■やる気を取り戻す
なんとなく気だるい。やる気がしない。そんな時は、「腎兪」だ。ウエストラインの、背骨から指2本分左右に移動した辺りにある。
「押したり温めたりします。さらに、腎兪に手を置いて腰を伸ばすストレッチを取り入れてください」
アンチエイジング効果も期待できる。
体が楽になれば、心も楽になる。その逆もしかり。2018年を、あなたの「ツボ押し元年」にしてはいかが?
▽やなもと・まゆみ 鍼灸按摩マッサージ指圧師、リンパドレナージセラピスト。心身の健康を害した時、自身もツボ押しで健康を取り戻した。監修本に「心が弱ったときのツボストレッチ」。
疲れない心と体を手に入れる