薬剤師の資格を持つ久田さんは、白血球が2万8000という数値が何を物語るのかは想像できる。ある病名が頭の中をかすめた。
外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除する白血球の数量は、正常基準下限値が3000~4000、正常基準上限値は8000~1万1000(日本検査血液学会)である。年齢や日々の体調などで変わり、個人差もあるが、久田さんの白血球数は正常値をはるかに超えていた。
翌日、久田さんは紹介された横浜の総合病院(血液内科)を訪ねた。受付で問診票に記入していると、ひとつの項目に目が留まる。
「告知しても大丈夫ですか?」
久田さんは丸印を付けて診察室に入った。
問診、血液検査の後、担当医師がこう切り出す。
「病名はなんだと思っていますか?」
末期がんからの生還者たち