がんと向き合い生きていく

ゲノム医療の進展で個々に最適な治療法が選択される時代がさらに進む

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 がんの治療は長年、「手術」「放射線治療」「薬物療法(抗がん剤)」とされてきましたが、ここ1、2年でこれに「免疫療法」が加わって4本柱になりました。

 先日、ある病院で医師たちがカルテを見ながら、がん患者の治療法について検討していました。この時、免疫治療薬のニボルマブを5回投与された肺がん患者(67歳・女性)のCT画像を目にしました。左肺へのがん転移は最大径4センチほどの腫瘤でしたが、これがほとんど消えているのです。

 私は肺がんでこれほどの効果を見たのは初めてでした。副作用においてはまだまだとても問題のある薬剤ですが、もしかして薬物でがんが治る時代が近いのかもしれないとも感じました。

■整備を急いで欲しい

 2017年度から6年間の「第3期がん対策推進基本計画」が示されています。この中で主な項目を見てみると、まず「ゲノム医療の推進」をうたっており、がんの遺伝情報などにより個々の患者の最適な治療法の選択がもっと進むものと思います。つまり、ゲノム医療の進展によって、個々の患者に投与される薬物はより効く確率が高く、副作用は少ないものが選ばれるようになるということなのです。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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