胃がん予防だけにあらず ピロリ菌除菌を高齢者に勧める理由

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 老親に勧めたい治療のひとつがピロリ菌の除菌治療。よく知られている「胃がん予防のため」だけではない。

 ピロリ菌に感染していると、30人に1人が胃がんを発症する。日本ヘリコバクター学会は「検査でピロリ菌感染が分かれば、胃がん予防のために除菌治療を受けるべき」との見解を示している。

 しかし臨床の現場では、高齢者の除菌治療は見送られるケースが少なくない。南毛利内科(神奈川県・厚木)の内山順造院長(日本ヘリコバクター学会認定医)が言う。

「除菌治療は、率は低いとはいえ副作用がゼロではない。年齢によっては『今からしなくても』となるのでしょう」

 内山院長も「胃がん予防のためだけ」であれば、高齢者には積極的に勧めないこともある。

 しかし、整形外科、循環器内科、神経内科などで処方された痛み止め(NSAIDs)、血栓予防薬(ワルファリンやNOAC)を服用している場合、話は別だ。これらは消化管からの出血を起こしやすくし、時に命に関わるからだ。

1 / 4 ページ

関連記事