胃がん予防だけにあらず ピロリ菌除菌を高齢者に勧める理由

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに、70歳以下と71歳以上に分けて調べると、減少の程度は同等。高齢者でも、除菌治療で「炎症を起こさない消化管粘膜」を得られることが分かった。一方、除菌治療の成功度は、70歳以下、71歳以上ともに同程度だった。心配される副作用についても、70歳以下、71歳以上で同程度。

「痛み止めや抗血栓薬を服用している人は、胃がん検診でピロリ菌の有無を調べてください。ピロリ菌陽性が判明したら、現在の治療を安全に継続するために、ピロリ菌の除菌治療を受けるべき」

 消化管出血は、ピロリ菌除菌治療でなくても、PPI(プロトンポンプ阻害薬)でも抑制できる。ただ、飲み忘れなどを考えると、「除菌治療の方がいい。また、除菌治療にPPI服用を加えれば、より効果的に消化管出血を抑制できる」と内山院長が言う。

「胃痛の経験がほとんどない」「症状がない」といった理由から「ピロリ菌に感染していない」と考えている人もいるだろう。ピロリ菌は、感染していても自覚症状はゼロ。潰瘍ができれば胃痛などの症状があるが、潰瘍がずっとできない人もいる。

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