大腸がんのリスクがアップ 盲腸を安易に切除してはいけない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「大腸内には100兆個もの腸内細菌が生息していて、バランスをとりながら免疫機能をコントロールしています。腸内細菌はバクテリアですが、大腸内に大量に生息しているのに腸の粘膜内に侵入し、感染症を起こすことはありません。これは、腸壁の粘液の中に分泌されているIgA抗体の働きによるものです。つまり、IgA抗体が免疫力を高め感染症を防いでいるのです」

 IgA抗体は虫垂のリンパ組織に存在する免疫細胞で作られている。そのため、虫垂を手術で切除してしまうと腸内細菌のバランスが一時的に崩れ、免疫機能に悪影響を与えてしまう。そして、これが大腸がんの発症をアップさせている可能性があるのだ。

■腸内細菌のバランスが崩れる

 2015年に発表された台湾の研究によると、虫垂を切除した人は大腸がんを発症しやすくなると報告されている。手術で虫垂を切除した7万5979人と、切除していない30万3640人を14年間にわたって追跡したところ、大腸がんの発症は、切除した人が切除していない人の1・14倍に上った。さらに、切除してから1年半~3年半の2年間に限ると、切除した人は2・13倍も大腸がんになりやすいこともわかった。

2 / 3 ページ

関連記事