年齢とともに増える物忘れ。今はインターネットで何でも調べられ、忘れても困らない場面も少なくない。
この状況に警鐘を鳴らすのは、くどうちあき脳神経外科クリニック・工藤千秋院長だ。
「ネット検索は便利ですが、自分で考えたり調べたりするのに比べると、脳の活動性がはるかに低い。記憶力の素地が失われるのも問題です」
たとえば文章を書く時。かつては言葉や漢字を辞書で調べ、必要に応じて記憶していた。しかし、簡単にネット検索ができる現在は覚えておく必然性がない。
そのため脳の記憶領域が働かなくなり、記憶力が衰えてしまうという。
一方、米山医院・米山公啓院長は言う。
「いちいち辞書を引かなければならないとしたら、誰も文章を書かなくなるでしょう。脳を活性化させるためには、ぜひネットを活用してブログなどを積極的に書くべきです」
ネットの弊害はあっても、メリットの方が大きいというわけだ。ネット検索をするだけでも、意外と脳を使う。
「ネット上では常に新しい情報があふれていて、新しいことにチャレンジする助けになります。だから私は、高齢の方にこそスマホを持つことをおすすめしたいと思います」(米山院長)
工藤院長は、ネットの便利さを認めた上で、あえて「脳にストレスを課す」ことをすすめている。
「ネットショッピングをすれば外出しなくてすみますが、それでは足腰が弱り、脳の衰えにもつながりかねません。便利な時代だけに、あえて歩いたりペンを持ったりすることを心掛けたいものです」
良い意味でストレスのある生活を。
これで「物忘れ」は怖くない