末期がんからの生還者たち

慢性骨髄性白血病<4>「がんと一緒に生きていこうと決めました」

久田邦博さん(C)日刊ゲンダイ

「もうね、くよくよしている間に寿命が来てしまう。もともとがん細胞は自分の細胞だから、ずっと一緒に生きていけばいいと考えると気持ちが楽になりました」

 がんを告知された後、MR(医薬情報担当者)から「社内研修担当」に異動となる。これが久田さんの生き方を大きく変えることになった。

「この時代に生きていた証しを弊社の新人社員たちに残しておこうと思ったのです。自分も勉強を重ね、全力をかけて多くの社員から待ち望まれるような研修にしたいとね」

■死を恐れる暇がないほど仕事に打ち込んだ

 MR時代、久田さんは多くの病院、保険薬局、大学、企業、行政などを訪ねていたことから、太いパイプを持っていた。そうした知人たちが久田さんの研修内容を聞きつけて、講演依頼が増えていった。会社の職務をこなしながらの講演である。もう、死を恐れている暇などなくなった。

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