それを裏付けるのが、日本糖尿病学会と日本癌学会による「糖尿病と癌に関する合同委員会」が5年前に発表した調査結果です。35歳以上の男女約33万6000人を10年間、追跡。そのうち、がんを発症した約3万3000人を対象に、糖尿病の有無と発がん率を分析したのです。
その結果、糖尿病の人はそうでない人に比べてがん全体のリスクが2割高いことが判明。がん別の発がんリスクは、膵臓がんと肝臓がんが約2倍、大腸がんが約1・4倍でした。
糖尿病の患者数は推定1000万人で、予備群を含めると2000万人に上ります。糖尿病が疑われる人は、4割がほとんど治療を受けていないだけに、がん対策の点でも大きな問題です。
■千代の富士は酒豪で…
なぜ、糖尿病の人が、がんになりやすいかというと、膵臓から分泌されるインスリンの影響が強いとされます。糖尿病で血糖値が上がると、それを下げるためのホルモン・インスリンの血中濃度が上昇。インスリンには、がん細胞の増殖を促す作用があり、糖尿病の人は発がんリスクが高まると考えられます。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁