気鋭の医師 注目の医療

美容整形の再手術では患者が理解・納得するまで何度も面談

山本クリニックの山本豊院長
山本クリニックの山本豊院長(提供写真)
山本クリニック(東京・新宿)山本豊院長

 昔と比べて美容整形への抵抗感が薄れ、手術が受けやすい時代になった。そのぶん結果に対して「思っていたのと違う」「満足いかない」という患者も増えている。しかし再手術は、最初の手術より難易度が高くなるので、他院の修正手術を引き受けてくれる医師はそう多くはない。

 同院は、修正手術を得意とする施設。これまで2000例以上の修正手術を行っている山本豊院長(顔写真)が言う。

「当院のオペ数は年間約640件で、うち修正手術は約220件です。しかし、修正手術の相談(カウンセリング)は年間1000件弱もあります。相談に来られる方で、実際に再手術が必要なほどあきらかに最初の手術の出来が悪い症例は2割ほどです」

 このように最初の手術に不満を持つ患者が多いのは、美容外科業界の「思い通りに」や「自由自在に」などの宣伝文句に一因があるという。患者側も実現可能な範囲から大きく外れて高望みしていることも多いという。

■圧倒的に多いのは目

 同院の修正手術の適応は基本的に、手術をした部位に機能的な問題があるケース、それから修正手術で患者本人の望む形に近づく場合だ。

「修正手術で圧倒的に多いのは『目』で、二重手術やプチ整形の修正です。また、まぶたが下がる眼瞼下垂で眼科や形成外科で保険診療の手術を受けた場合、まぶたを上げる機能は治しますが形は気にしません。それで修正手術を望む患者さんも結構います」

 他にも、小鼻を小さくしたが左右のバランスが悪い、鼻筋を通すためにシリコーンを入れたが高すぎる、豊胸手術後の位置や大きさが違う、乳首を小さくしたが左右の大きさが違う、など患者が望む修正部位は多岐にわたる。男性患者も2割くらいを占めるが、意外にも女性よりも細かい部分まで気にするという。

「美容整形手術で大切なのは、医師の技術力が高いことはもちろんですが、患者と医師の美的感覚が違うといくら技術力があっても意味がありません。そのすり合わせが最も重要です。当院のカウンセリングは1回20分(1000円・税抜き)ですが、患者さんが修正をどこまで望むのか、理解・納得されるまで何度でも面談します。手術当日も30分くらい話し合います」

 目の修正手術は念入りに微調整し、座った顔と寝た顔の確認までするので2時間半くらいかけて丁寧に行う。鼻筋を修正する手術であれば1時間くらいで終わるという。

 山本院長が修正手術を積極的に行っているのは、もともとのスタートが胸部外科医だったことが関係する。患者が困っていたら「手術で治す」という胸部外科医のスタンスは、美容外科医になっても変わらない。グレードの高い手術ほど、やりがいを感じるという。

「修正手術は、できても4回目くらいまで。最初の手術をやった先生に不満や疑問があれば、その時点で相談してもらいたい。状態を見て元の施設に返すこともあります。セカンドオピニオン的な感覚で、気軽に相談してもらいたいと思います」

▽東京都出身。1992年東京医科大学卒。東京医科大学大学院修了後、同大第1外科、自由が丘クリニック勤務。ニューヨーク大学形成外科留学、昭和大学形成外科を経て、04年開院。〈所属学会〉日本外科学会、日本美容外科学会、日本形成外科学会など。

関連記事