樋口院長は、日本のアルコール依存症、ギャンブル依存症研究の第一人者であり、臨床医だ。しかし、子供のネット依存の治療の難しさは群を抜いているという。
「相手が子供ということが大きい。同じ依存でも大人はある程度自分をコントロールする力がついている。子供はそれが乏しく、欲情、感情に支配されやすい。さらに、子供は嫌だと思ったら絶対に治療を受けない」
だからこそ、ネット依存の兆候を示したら、できるだけ早い時期に治療者へ結びつけることが非常に重要だ。それができるのは親しかいない。
まだ依存とまで言えない状況、つまりは子供のネットの使い方がそれほどひどくなく、かつ、親がしっかり指導できる場合は、親子が話し合い、ネット使用のルールを決めていく。
「親が強制すれば子供は反発するだけです。子供の主張を取り入れつつ、『○時間まで』と決める。破った場合、どれくらいネットを取り上げるのか、どうすれば返すのかなど、条件は細かく具体的に決めます」