末期がんからの生還者たち

前立腺がん・大腸がん<1>11時間に及ぶ大手術後に奇妙な夢を見た

吉田博行さん(提供写真)

「夢の中に、女房が出て来なかったのは申し訳なかった」と、ジョーク交じりに、壮絶な2つのがん体験を語ってくれた。

■「ついに来たか!」

 吉田さんは栃木県足利市の生まれで、5人きょうだいの下から2番目。そのうち次男、次女はがんで亡くなった。

 2011年11月に、新宿で3軒ほど店をハシゴしてしたたか飲んだ。大ジョッキで生ビールだけでも数杯ほど飲んだろうか。帰宅してトイレに入ったが、オシッコが一滴も出ない。何度トイレに入ってもダメ。そのうち、腹が痛み出し、やがて我慢できないほどの激痛に襲われた。

 自宅から近い「小林外科胃腸科」(世田谷)に駆け込むと、「PSA値」が268・2もあった。

 前立腺特異抗原といわれる「PSA」は、前立腺から精液中に分泌されるタンパク質の一種。前立腺がんの腫瘍マーカーといわれ、健康な人の「PSA」が約2gn/ミリリットル以下。一般的には4gn/ミリリットルである。

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