Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

適量は日本酒1合まで 飲酒による大腸がんリスクを知る

日本酒4合で大腸がんリスク3倍(C)日刊ゲンダイ

 問題は、どちらか一方が欠損型の「部分欠損型」です。日本人の45%を占めます。

 このタイプは、アセトアルデヒドの分解力があっても十分ではありません。飲酒量が増えるにつれて、アセトアルデヒドが体内に蓄積されます。それが血管を拡張させ、顔を赤くすると同時に発がんリスクを高めるのです。このタイプが大量に飲酒を続けると、食道がんのリスクが95倍にアップするという報告もあります。

 飲むといつも顔が赤くなる人だけでなく、飲み慣れるうちに赤くなりにくくなった人も、部分欠損型と考えられます。後者のタイプも、発がんの危険性が高いでしょう。ALDH2の変異は、アジア人の一部にしか見られません。赤ら顔で飲んでいる人は、せめて検診を定期的に受けて早期発見を心掛けることです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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