末期がんからの生還者たち

卵巣がん<1>「治療後の空虚感はがん患者に共通した苦悩でしょうか」

大塚美絵子さん(C)日刊ゲンダイ

「5年生存率は、30%前後。手術などで治療に成功しても、再発の確率は医学の統計で2人に1人。告知を受けた年、私の友人に担当医が『残念ながら大塚さんに来年という年がないかもしれません』と言っていたそうです」

■今は仕事が支え

 700万円に近い年収を得ていた優良監査法人を退職し、手術など治療に専念すること約1年。その後、2年間、「人生を楽しみたい」とドイツなど、海外旅行を満喫した。   

 2年前の16年には、「社会参加のために、ビジネスに挑戦」と勇躍、「リンパレッツ」(東京・八重洲)という会社を立ち上げる。

 ドイツ旅行時に出合った、医療用ストッキング(特にリンパ浮腫用)に魅せられ、輸入業者の協力を得て、日本でも小売り販売を開始した。

 ビジネスはゆっくりと滑りだしたが、頭から「がん再発」の不安は消えることがない。しかし、昨年、ようやくがん治療の目安となる「5年生存」を乗り越えた。

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