独白 愉快な“病人”たち

写真家・加納典明さんは手術4度 恐怖より興味で前向きに

「正確な判断がすべて」と語る加納典明さん(C)日刊ゲンダイ

 手術への不安や、死ぬかもしれないという恐れはなかったな。それよりも「オレの体は今どうなっているんだろう」「手術でどんなことをするんだろう」という興味の方がいつも先に立つんだ。医療がどこまで進んでいるのかという情報は、今の時代いくらでも調べられるだろう? 「米国の5大病院だったらどんな手術をするのか」って、そういうことを調べたくなる。

 オレは“勢いの人”でもあるけど(笑い)、こと病気に関しても徹底して「前向き」。そしてその裏付けは常に持っている。やっぱり、人がやらないことをやるからにはそれなりのリスクを背負うから、そのための考えがないとダメなんだよ。だから、病院のことも、医師の実績もちゃんと調べるよ。当然のことだね。

 それに、ひとこと言いたいのは医師との関係だ。インフォームドコンセントもたしかに重要だが、医師にも人故の個性や能力がある。基本、医師という職能でしかないわけだから敬意を払うのは当然としても、畏敬することは必要なく、対等の人間関係をもって対しなさいということ。そして、自身の病んだ状況をトコトン理解できるまで話すことだね。下手な遠慮は死を招くよ。

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