さらに、通院や職探しなどで移動するときは、体力に限界を感じていたことからタクシーやグリーン車をよく利用した。こうした「生きるための出費」が、どんどん膨らんでいった。
「職探しで、がんの既往歴や時短勤務の希望を口にすると、まずオファーはありませんでした」
■「がんサバイバーの役にたつことが生きがい」
これからどのようにして生きていけばいいのか……方向性を失ってしまった。ひとりで部屋に閉じこもり、何日も家族と口を利かず、衝動的に窓ガラスを割ることもあったという。
2年ほど奈落の底をさまよっていた大塚さんが光明を見いだすのは、小さな勉強会に参加したときの、あるサバイバーの話がきっかけだった。
「物事には必ず両面があります。だから何かを表現するときは、良い面を見つけ出すことです」
末期がんからの生還者たち