末期がんからの生還者たち

卵巣がん<4>「生きるための出費がどんどん膨らんで」

大塚美絵子さん(C)日刊ゲンダイ

 さらに、通院や職探しなどで移動するときは、体力に限界を感じていたことからタクシーやグリーン車をよく利用した。こうした「生きるための出費」が、どんどん膨らんでいった。

「職探しで、がんの既往歴や時短勤務の希望を口にすると、まずオファーはありませんでした」

■「がんサバイバーの役にたつことが生きがい」

 これからどのようにして生きていけばいいのか……方向性を失ってしまった。ひとりで部屋に閉じこもり、何日も家族と口を利かず、衝動的に窓ガラスを割ることもあったという。

 2年ほど奈落の底をさまよっていた大塚さんが光明を見いだすのは、小さな勉強会に参加したときの、あるサバイバーの話がきっかけだった。

「物事には必ず両面があります。だから何かを表現するときは、良い面を見つけ出すことです」

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