良い面を見つける――。大塚さんは、こうした前向きな話を聞いて気持ちが和らいできたタイミングで、ドイツ旅行時に出合った「医療用ストッキング」を思い出した。医療用ストッキングを必要とする患者の大半が女性である。しかし、今の日本にはこの種の情報が少ない。医療目的なのに、サイズや使用感もないがしろにされてきた。
大学でドイツ語を専攻していた大塚さんは、得意の英語やドイツ語を駆使して情報を収集。一昨年、東京・八重洲に「医療用ストッキング」の小売会社を立ち上げた。
「今はストッキングを試着してもらい、販売しながら、私の治療経験も話したい。こうしてサバイバーさんの気持ちを上向きにするようなお手伝いができたらいいなと思っています」
末期がんからの生還者たち