ではなぜお酒は胎児に悪影響を与えるのか? それはお酒が薬物の一種であり、大人と同量を胎児が摂取すれば、その影響がさらに強く表れるからだ。
「2007年のWHO(世界保健機関)の評価では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房のがんの原因となるとされています。アルコールそのものに発がん性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の人は、アルコールが代謝してできる毒性の強いアセトアルデヒドが食道がんの原因となるとも結論づけています。先日の米臨床腫瘍学会のがん予防委員会も、初めて飲酒の危険性を公式に認めています」
しかも、このお酒による悪影響は日本人の女性に、より出やすいことがわかっている。
アセトアルデヒドは「2型アセトアルデヒド脱水素酵素」(ALDH2)によって無毒化される。この遺伝子には、分解力が強い正常型と弱い欠損型があり、いずれのタイプかは両親から受け継がれる2つの遺伝子によって決まる。