Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

アルコール分解酵素に地域差 近畿と中部に下戸が多い理由

北海道、東北、九州は「飲める人」イメージだが…/(C)日刊ゲンダイ

 弥生人は、稲作を通じて高度な文化を育みました。大和朝廷がどこにあったのかは諸説ありますが、ALDH2の変異の分布を加味すると、近畿を後押しする材料になると考えてもいいかもしれません。

 かつて顔立ちがスマートな人をしょうゆ顔、濃い顔の人をソース顔と呼んだことがありました。仮に弥生系をしょうゆ顔で、縄文系をソース顔とすれば、しょうゆ顔の人はALDH2の変異型を持っている可能性が高く下戸で、ソース顔の人は飲めるタイプといえるでしょう。

 しかし、正常型の人はアルコール中毒や肝機能障害になる割合が高い。ソース顔で飲める人も、お酒は楽しくほどほどに、です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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