年をとったら「太る」を目指す

医師でも理解度はマチマチ リハ栄養チェックのポイントは

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 リハ栄養に関しての理解度は、医師の間でもまちまちです。リハ栄養という言葉や知識をまったく知らない医師は少ないと思いますが、知っているのと行動に移しているのとは別問題です。

 栄養サポートチームが「リハビリよりも、まず栄養摂取を」などと主治医に伝えても、聞く耳を持たない医師もいます。一方で、リハ栄養が不十分であることに気づいていない医師や、リハ栄養まで考えが及んでいない医師もいるでしょう。

 もし自分や自分の家族が入院してリハビリを受けることになった時、可能であれば、リハ栄養への取り組みについてチェックすることをお勧めします。栄養サポートチームが介入しているのか、していないのか。主治医やリハビリ科の医師が「食事をきちんと取れていますか?」「体重はどうですか」などと聞いてくるか。

 さらには、「食事はあまり取れていない」と答えた時に「それなら軽めのリハビリにしましょう」「高カロリーのゼリーを食事に加えましょう」などと具体的に提案してくれると、いいですね。四肢の太さや握力などもチェックしながらリハビリ内容を考えていくのが、本来のリハ栄養です。

 高カロリーのゼリーに触れましたが、なかなか食事摂取量が増えない方にはお勧めです。ビタミン、ミネラルなどのサプリメントについてもよく聞かれます。ビタミン、ミネラルは代謝に欠かせない栄養分です。しかしそれらはエネルギー源にはなりません。

 低栄養状態で、まず太らないとリハビリをしてもよくならない人は、ビタミン、ミネラルのみのサプリメントよりも、エネルギー源となる糖質、脂質、タンパク質の摂取が大切です。エネルギー源の摂取あってのビタミン、ミネラルです。

若林秀隆

若林秀隆

リハ栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害を特に専門とする。日本リハビリテーション医学会指導医・専門医。

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