末期がんからの生還者たち

炎症性乳管がん<2>電話口で母は泣き出し父は声を詰まらせ

原田祐子さん(C)日刊ゲンダイ

「社員の人たちには心配をかけまいと、がんであることを知らせませんでした。治療で出勤できないときは心臓病とウソをついていたのです。でも腫瘍が小さくなったところで、初めて会社の幹部にだけ、がんであることを告白したのです」

 他県に住む両親にも内緒にしていた。それでも、会社で告白したほぼ同じ時期に、電話で打ち明けた。

「驚かないでね。私、乳がんなの。でも抗がん剤が効いているから安心して」

 原田さんはひとり娘である。電話口で母は泣き出し、父は声を詰まらせながらこう言った。

「もし代われるなら、私が代わってあげたい……」

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