独白 愉快な“病人”たち

骨肉腫で脚切断の危機 東儀秀樹さん“余命1年”からの現在

25歳のとき、医師が母に自分の“余命”を伝えているのを聞いた(C)日刊ゲンダイ

 でもなぜか、まったくショックを感じなかったんです。怖くもなかったですし、「なぜ自分が?」という悲観的な思いも一切ありませんでした。「しょうがないな」と自然に現実を受け止められたのです。むしろ「あと1年ならば、その間を精いっぱい堂々と楽しんで生きてやろう」と力が湧いてきました。

 生まれつき「もうダメだ」とは思わず、「ダメな中でも最高のことをすればいい」と考えるタイプなのです。他人は「プラス思考だね」なんて言いますけど、そんな自覚もないくらい人生にマイナス要素を感じません。

■ずっと知らないふりをしていた

 その後、「本当はがんなんでしょ? 何を聞いても平気だから教えて」と言っても、医師も看護師も「ちょっと珍しい病気なだけですよ」と言葉を濁すばかり。でも入院は3週間に及び、その間にどんどんお見舞いの人が増えるんです。遠い親戚まで来るし、しまいにはボクが可愛がっていた猫まで連れてくる始末(笑い)。でも、自分が盗み聞きしたことを知ったら周囲が余計に悲しむだろうと思って、ずっと知らないふりをしていました。

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