天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓疾患にかかりやすい血液型があるのは本当か

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 血液型の分類法は一般的に知られているABO式だけでなく、たくさんの種類があります。Rh式もそのひとつで、赤血球膜の抗原の有無で分類されます。日本人の多くはRh(+)で、Rh(-)の人は0・5%だといわれています。中でも、AB型Rh(-)は2000人に1人しかいないといわれる希少な血液型で、手術で必要になる輸血の確保が難しいのです。

 これまでAB型Rh(-)の患者さんの手術を何度か行いましたが、その際は1週間以上前に赤十字血液センターに連絡を入れて輸血用の血液をストックしておいてもらい、前日にあらためて確認を行う周到な準備が必要になります。

 赤十字血液センターには、かつて献血の経験があるRh(-)のような特殊な血液型の人が登録されていて、定期的に献血をお願いしたり、緊急時に協力してもらえるような態勢が整えられています。輸血用の血液製剤は採取から3週間で有効期限が切れてしまいます。ですから、登録されているAB型Rh(-)の人は、献血に協力してもらえるように何度もお願いされているかもしれません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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