生活と健康 数字は語る

「国民栄養調査」は日本人の状況を最もよく表している

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今回からは新しい連載ですが、これまでと同様、医療に関する数字を紹介していきます。タイトルが変わっただけではという疑いもありますが、今回のシリーズでは、できるだけ誰しもが容易にアクセスできる無料で公開された情報を中心に、より身近なデータを紹介していくつもりです。

 その手始めとして、ネット上でもオープンにされている「国民栄養調査」のデータをさまざまな角度からひもといていきたいと思います。

 国民栄養調査は、厚生労働省によって行われる調査で、国民の身体状況、栄養摂取量、生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進を図るために、無作為に抽出された1都道府県当たり10地区(東京都のみ15地区)を対象として毎年行われているものです。

 1歳以上の国民を対象にし、平成28年調査では、2万6354人の身体状況調査、2万6133人の栄養摂取状況調査、2万5704人の生活習慣調査データが解析されています。

 これは全人口のおおよそ4000人に1人が参加したという調査になります。これだけの大規模な調査はほかになく、現在の日本人の状況を最もよく表した調査といえるでしょう。それが毎年行われ、その結果が誰でも見られる形で発表されているわけですから、これを利用しない手はありませんが、有効に利用されているようには思えません。

 こんな素晴らしいデータがあるのですから、放置するのはもったいない。国民の皆さんに役立ってもらえるよう、次回からの連載で取り上げていきます。よろしくお願いします。

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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