場面緘黙症とは…歌って克服目指すソングライターが語る

「成功体験を重ねれば、少しずつ良くなっていきます」と岩倉純さん(C)日刊ゲンダイ

 高校は通信教育です。今思えば、場面緘黙症の症状が続いていたのですが、大学に入ってちょっと話せるようになりました。今までみたいな狭い教室で同じクラスメートに囲まれ決まった席に座るんじゃないことで、プレッシャーがなくなったんです。自分から話しかけたり、会話を続けたりというのは無理でしたが、小さな声だけど、次第に話しかけられたら答えられるようになりました。

 ボーカルスクールに通いだしたのは26歳の時。ずっと通いたくて、でも踏み出せなくて、ようやくマンツーマンで2年間ボイストレーニングを受け、初めて発表会に出た時は、味わったことがない緊張感を覚えました。でも、好きだから、歌をやりたいからという気持ちの方が強かった。それから徐々に人前で歌うようになりました。

 一つ一つできることが増えていると実感しています。たとえば、1年前からFM世田谷でラジオ番組を持っています。昨年12月にはNHKさいたまFMで生放送番組に呼ばれました。ラジオ番組の1年間の経験がなければ、生出演なんて絶対に断っていたはず。だんだん前に進んでいる感じです。

 場面緘黙症があっても、安心できる場所に行けたり、好きなことに出合えたりして成功体験を重ねれば、状況は少しずつ良くなっていく。それを自分の姿で、場面緘黙症のお子さんや保護者の方に伝えていきたいです。

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