さらに、その免疫チェックポイント阻害薬は、年間1700万円もかかる薬(高額療養費制度の利用で、70歳以上75歳未満の一般所得者の自己負担額は月5万円程度)です。
「薬代が高いとか安いとかよりも、目の前の患者に最良の治療を提供するのが医師である」という意見もあります。その考え方だけでは国民皆保険制度が崩壊する恐れもあります。そうなれば、これまでのような治療の提供ができなくなってしまいます。
もし、その高額薬を使い続けることで1年長生きできたとして、それは高いのか、安いのか。いってみれば“命の値段”をつけるということです。しかし、当たり前の話ですが、それは容易には判断が難しい問題です。
多くの国で「増分費用効果」という言葉が使われています。かけた費用に対して、どれくらい効果があったのか。2つの薬があった時、それを比較するのに、費用対効果の点から検討されることがあるのです。1年長生きするのにどれだけの費用がかかり、それに見合った効果が得られたかどうか。しかし、それをどう評価するというのでしょう?
がんと向き合い生きていく