もし、1年長生きできたとして、それを評価するのは難しい。
それならば、その患者がその1年をどう生きたか、1年間の生活の質はどうだったのかを問う考えもあります。これは「質調整生存年」といって、寝たきりの1年だったか、健康的に生活できた1年だったか。これを数値として出して、他と比較しようという考えです。ただ、そんな数値を出したところで、寝たきりだとしても良かったと思う患者さんもいれば、他人から見て健康的な生活に見えたとしても、本人の心は地獄の1年だったかもしれません。それなのに、他と比較するためになんでも数値化しようというのです。
新薬を承認する指標に費用対効果という数値を使って、みんなを納得させようとする。1年長生きできた、その薬剤の金額はいくらか? いくら以下なら国として承認できるか? ある国では年500万円ともいわれますが、「救う命と救わない命を金額で線引きするのか」という疑問も出てきます。
がんと向き合い生きていく